2025.12.16ブログ相続した車を売るには?名義変更・査定・税金まで徹底解説

① 相続した車はすぐ売れる?売却までの基本ステップ
売却までの全体像(短縮版)
相続で取得した車を「すぐ売りたい」と考えた場合でも、実務上はいくつかの手順を踏む必要があります。大まかな流れは以下の通りです。
- 相続関係の確認(戸籍・除籍で被相続人の死亡と相続人を確認)
- 遺産分割の決定(誰が車を相続するかを確定)
- 名義変更または売却の可否確認(業者に相談)
- 必要書類を揃えて中古車販売店や買取業者へ査定依頼・売却交渉
- 売買契約と代金受領、名義移転手続き(業者代行が一般的)
このうち「遺産分割の決定」と「必要書類の準備」が最も時間をとるポイントです。相続人が複数いる場合やローンが残っている場合は、事前に問題点を整理しておくとスムーズです。実務的な必要書類や手続きの詳細は次節で解説します。
即売却を可能にするパターンと制約
被相続人の口座や資産関係が整理されており、相続人全員の合意(遺産分割協議)がある場合は、通常の中古車売買と同様に素早く売却できます。ただし「名義が故人のまま」では買取業者やディーラーが買い取りに慎重になるケースが多いため、名義変更をしてから売却するか、業者に「相続車の取り扱い」に慣れているか確認するのが重要です。価値が低い(100万円以下等)の車は簡易的な書類で手続きできる場合があるため、手続き負担が軽くなることがあります。
② 相続名義のままでは売れない理由
名義の所在と処分権の関係(法的な観点)
車両は動産であるものの、登録上は「所有者」が車検証に記載されているため、実務上はその所有者の処分権が前提となります。被相続人が亡くなった後は、相続人が相続によって法的に所有権を取得するため、相続人全員の合意がない状態で勝手に売却することは避けるべきです。売買契約を結ぶ際、買主(業者)は「売主に売る権限があるか」を証明するための書類を求めます。これが揃っていないと売却できない、あるいは手続きが長引く可能性があります。
「相続による移転登録」と「遺産分割協議成立申立書」の違い
相続車の名義変更(相続移転登録)には通常、遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明等を求められます。ただし車両の価値が一定以下(実務上は概ね100万円以下が目安とされる場合がある)であれば、簡略化された「遺産分割協議成立申立書」で手続きできる運用があるため、相続人全員の署名捺印をそろえる手間を省けるケースもあります。具体的な適用条件や必要書類は管轄の運輸支局や窓口で確認してください。
③ 売却時に必要な書類と手続き
基本的な書類一覧(通常の中古車売却+相続特有の書類)
売却に際して通常必要となる書類に加え、相続固有の書類が必要になります。一般に求められるものは次の通りです。
- 自動車検査証(車検証)原本
- 自賠責保険証明書(残存期間の確認)
- 自動車税納税証明(年度内に必要な場合)
- リサイクル券(預託済みであればその証明)
- 被相続人の戸籍謄本(死亡事実の確認)/除籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書がある場合)
- 遺産分割協議書または遺産分割協議成立申立書(車の扱いを定めたもの)
- 相続人による委任状(代理で手続きを行う場合)
上記はあくまで代表的な例で、管轄の運輸支局や買受業者の要望によって追加資料が求められることがあります。
名義変更を代行する場合の実務ポイント
一般的に中古車販売店や買取業者は、名義変更や名義移転の代行サービスを提供します。業者に委託すると手続きの煩雑さは軽減されますが、必ず「どの書類を業者が取得・提出するのか」「追加費用が発生するか」を事前に確認し、書面で見積もりを受け取ることをおすすめします。特に遺産分割に絡む書類は相続人全員の同意がないと作成できないため、業者の「代行範囲」を明確にしておくとトラブルを避けられます。
④ 相続税・譲渡所得税の扱いをチェック
相続税の観点(売却以前に検討すべきこと)
被相続人の遺産総額が法定相続税の基礎控除を超える場合、相続税の申告と納付が必要になります。車も遺産の一部として評価され、その評価額は相続税の課税対象に含まれます。相続税の有無や評価額の算定方法によっては、売却のタイミングを考慮する必要が出てきます(相続税申告期限と売却時期の関係など)。相続税が課税されるか否かで、売却益に関する特例の適用可否にも影響する場合があります。
売却による譲渡所得(譲渡税)の可能性と特例
相続で取得した財産を売却した際、譲渡所得(譲渡による利益)が発生する場合、その課税関係は資産の種類や保有期間等によって異なります。国税庁は「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」などを定めており、相続税が課税された財産については一定の要件のもとで取得費の特例を受けられることがあります。具体的には、相続税が課税された人が相続開始の日の翌日から所定の期限内に譲渡した場合に適用される特例があるため、税務上の取り扱いは事前に税理士や所轄税務署に相談することが重要です。
実務的な税務アドバイス(簡潔に)
車のような動産は一般に短期間で価値が急減することが多く、譲渡所得が発生するケースは相対的に少ないものの、十分にあり得る点には注意が必要です。相続発生後3年以内の売却や相続税の課税の有無など、税務上の優遇や不利益が発生するポイントがあるため、高額な車や特殊な事情がある場合は税理士に相談してから売却の最終判断を行うのが安全です。
⑤ 高く売るコツと注意点
査定前にやっておくべきこと(整備・書類整理)
査定額を少しでも上げるコツは、見た目と書類の整備です。具体的には、車内外の清掃、小さな汚れや傷の修復(修理代と査定増加額のバランスを考慮)、整備記録の提示(整備手帳、点検記録)、車検の残存期間やタイヤ・バッテリーの状態を明確にしておくことが有効です。また、リサイクル券や過去の修理歴、改造の有無など正確に伝えることで査定の信頼性が向上します。整備履歴がしっかりしている車は、買取業者の印象が良くなりやすいです。
複数業者に査定を依頼する(相見積もり)
中古車の売却では複数業者からの査定を取ることが最も効果的な高値戦術です。オンライン査定で概算を取った上で、業者に現車確認の査定を依頼し、条件(引取方法、名義変更代行、手数料など)をすり合わせながら比較しましょう。業者によって得意な車種や販売チャネルが異なるため、同じ車でも提示価格に差が出ます。出張査定や名義変更の代行費用の有無も含めて総合的に判断してください。
ローン残債・名義人の問題に対する注意点
ローンが残っている場合、ローン会社の所有権が付されていることがあり、売却前にローンの処理方法(一括返済、業者が引き受ける等)を確認する必要があります。また、名義が被相続人のまま放置していると業者が買い取りを断る場合があるため、名義変更や遺産分割の処理を先行させることが現実的です。これらの点は売却手続きを遅延させ、結果的に査定や販売価格に影響を与えるため注意が必要です。
⑥ 名義変更から売却までを代行してくれる業者とは
代行サービスの種類と費用の目安
名義変更・抹消・売却代行をワンストップで提供する業者は多数あります。代行サービスの主な内容は書類作成、運輸支局への申請代行、引取・搬送、査定・売却交渉の代行、残債処理の窓口代行などです。費用は業者やサービス範囲によって変わり、数千円〜数万円台が一般的ですが、名義変更の代行+出張引取を含むとそれ以上となる場合もあります。依頼前に「何が含まれているか」「追加費用の発生条件」「抹消証明や移転完了報告の交付方法」を確認してください。
良い業者の見分け方とトラブル回避法
信頼できる業者を見分けるポイントは、見積りの透明性、書面での契約提示、抹消・移転完了時の証明書交付、そして顧客対応の明瞭さです。悪質なケースでは、作業後に抹消証明を渡さない、追加請求をしてくる、あるいはローン処理を適切に行わないといったトラブルが報告されるため、口コミや事例を確認し、可能であれば複数社の比較で信頼性を確かめてから依頼しましょう。契約は必ず書面で交わし、作業完了後の書類受領(抹消証明書、名義移転完了書等)を忘れずに受け取ってください。
付録:相続車売却チェックリスト(短縮版)
事前準備(すぐ使えるチェック項目)
- 被相続人の戸籍謄本・除籍謄本を取得済みか
- 車検証の所在確認(原本)
- リサイクル券・整備手帳の有無を確認
- 車の市場価値(おおよその相場)を複数のオンライン査定で把握
- ローン残債の有無を確認、ローン会社へ連絡済みか
- 相続人全員での遺産分割の合意が取れているか(遺産分割協議書)
- 名義変更を自分で行うか業者に委託するかを決定
まとめ(実務で失敗しないための結論)
相続した車を売る際は、税務・相続関係・実務的な手続きの3つを同時に管理することが重要です。急いで手放したい気持ちはあっても、遺産分割の合意がないまま売却を進めると後で紛争になるリスクがあります。税務上の取り扱いや相続税の有無、譲渡所得の特例適用条件などはケースバイケースで変わるため、高額車や複雑な相続関係がある場合は税理士や弁護士への相談を強く推奨します。名義変更や売却を代行する業者を利用することで手続きの負担は大幅に軽減できますが、業者選びは慎重に。最後に、必要な書類は早めに揃えておくことで査定・売却がスムーズに進みます。
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